今回は、高次脳機能障害の手帳申請の仕方はどういう手順で行うのか、等級や診断書についてまとめました。
高次脳機能障害は、”見えない障害”と言われます。入院中はそんなに生活に支障がなかったのに家に帰ってから症状が出たり、性格が変わってしまったりすることがあるんです。
病気ではないので、障がいとして認められないことが多く見過ごされてしまうこともあります。
生活で困ることも多い障がいですが、知識がないと国からの補助が受けられるのに受けられず生活が困窮するなんてことになりかねません。
手帳申請の仕方を学んで、ぜひ生活に役立てていただきたいと思います。
では、始めていきますね。
高次脳機能障害の手帳申請の仕方は?
高次脳機能障害とは?
厚生労働省は、交通事故などで起こる外傷性脳損傷(がいしょうせいのうそんしょう)、脳血管障害(のうけっかんしょうがい)などの後遺症として、
- 記憶障害
- 注意障害
- 遂行機能障害
- 社会的行動障害
などの認知障害等を呈するものとしています。
それぞれの症状を以下にまとめます。事故の後や、脳卒中後にこんな症状が見られたら、医師に相談してみてくださいね。
記憶障害の症状
- 今日の日付がわからない
- 自分のいる場所がわからない
- 物の置き場所を忘れたり、新しい出来事が覚えられない
- 何度も同じことを繰り返し質問する
- 一日の予定を覚えられない
- 自分のしたことを忘れてしまう
- 作業中に声をかけられると、何をしていたか忘れてしまう
- 人の名前や作業の手順が覚えられない計画を立てられない
注意障害の症状
- 自分で計画を立てられない
- 長時間一つのことに集中できないない
- ぼんやりしていて、何かするとミスばかりする
- 一度に二つ以上のことをしようとすると混乱する
- 周囲の状況を判断せずに、行動を起こそうとする
- 言われていることに、興味を示さない 片側にあるものだけを見落とす
遂行機能障害の症状
- 自分で計画を立てられない
- 指示してもらわないと何もできない
- 物事の優先順位をつけられない
- いきあたりばったりの行動をする
- 仕事が決まったとおりに仕上がない
- 効率よく仕事ができない
- 間違いを次に生かせない
社会的行動障害の症状
- 怒る、笑うなど感情のコントロールができない
- 無制限に食べたり、お金を使ったり、欲求が抑えられない
- 態度や行動が子供っぽくなる
- すぐ親や周囲の人に頼る
- 場違いな行動や発言をしてしまう
- じっとしていられない
高次脳機能障害については、また別の記事で解説します!
「高次脳機能障害」が対象になる手帳の種類は?
- 精神障害者保健福祉手帳
対象:高次脳機能障害によって日常生活や社会生活に制約があると診断された者
(高次脳機能障害を含め、統合失調症、躁うつ病、非定型精神病、中毒性精神病、器質性精神病、てんかん、神経症およびその他の精神疾患全てが対象)
必要書類
- 障害者手帳申請書
- 診断書(障害者手帳用)または、精神障害を支給事由とした障害年金もしくは特別障害給付金を現に受給していることを証する書類(年金証書等)の写し
- 本人の写真(縦4cm×横3cm、脱帽・上半身)
手順
- 居住地の市区町村の担当窓口(障害者福祉事務所等)で申請書を受け取ります。
- 医師に障害者手帳用の診断書を書いてもらいます。
- 申請書に診断書、写真を添えて担当窓口に提出します。
- 医師の診断書をもとに審査が行われます。
- 交付通知書が郵送されてきます。手帳が交付されない場合も通知書が送られてきます。
- 担当窓口に交付通知書を持参して、手帳を受け取ります。この時に、利用できる福祉サービスについての説明を受けます。

高次脳機能障害の手帳の等級や診断書についてまとめました
精神障害者保健福祉手帳について
対象者
「精神障害のため、長期にわたり日常生活または社会生活への支障がある方」
障害等級
手帳は障害の程度により、重い方から1級、2級、3級があります。
- 1級(精神障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの)
-
2級(精神障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの)
-
3級(精神障害であって、日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの)
【精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について一部抜粋】
- 精神疾患(機能障害)の状態の欄に
器質性精神障害によるものにあっては、記憶障害、遂行機能障害、注意障害、社会的行動障害のいずれかがあり、そのうちひとつ以上が高度のもの
とされています。
- 能力障害(活動制限)の状態
- 調和のとれた適切な食事摂取ができない。
- 洗面、入浴、更衣、清掃等の身辺の清潔保持ができない。
- 金銭管理能力がなく、計画的で適切な買物ができない。
- 通院・服薬を必要とするが、規則的に行うことができない。
- 家族や知人・近隣等と適切な意思伝達ができない。協調的な対人関係を作れない。
- 身辺の安全を保持したり、危機的状況に適切に対応できない。
- 社会的手続をしたり、一般の公共施設を利用することができない。
- 社会情勢や趣味・娯楽に関心がなく、文化的社会的活動に参加できない。
(上記1~8のうちいくつかに該当するもの)
※「精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について」(平成7年9月12日厚生省保健医療局長通知)に基づいて決められています。
診断書
申請時の診断書を作成する医師は、現在は精神科医でなくともよく、リハビリテーション科医や神経内科医、脳神経外科医なども作成可能です。
(1)精神疾患の存在の確認
(2)精神疾患(機能障害)の状態の確認
(3)能力障害(活動制限)の状態の確認
(4)精神障害の程度の総合判定
初診日から6か月以上経過した時点の診断書から得るもの。
※初診から、6ヶ月経たないと障害が定着していないと見なされないんですね。6ヶ月より早い段階だと、せっかく手帳を交付しても、すぐに回復してしまうなんてことになりかねないそうです。
記入例を載せておきますね!
まとめ
今回は、高次脳機能障害の手帳申請の仕方はどういう手順で行うのか、等級や診断書についてまとめました。
高次脳機能障害は、”見えない障害”と言われます。入院中はそんなに生活に支障がなかったのに家に帰ってから症状が出たり、性格が変わってしまったりすることがあります。
支援を受けずに苦しい生活を送っている方も多いです。自分の周りで、当てはまる方はいませんでしたか?
手帳申請の仕方を学んで、ぜひ生活に役立てていただきたいと思います。
